■三無主義≠フ販売戦略
今、ニュービジネスの時代、大手企業までもが、「何かもうかる事業はないか」とウの目タカの目である。しかし「今、何がもうかっているか≠ナはなく、必要なのは今、何が困っているか≠ヨの着眼点だ」というのが(株)ミヤキの宮崎基幸社長の持論だ。
「困っている問題を解決する商品の開発に進むわけだが、それはあくまでも第一歩。その商品の効用をユーザーに体得させ、購入に導く販売のノウハウが是非とも必要だ」とつけ加える。
同社は小粒だが白木のシミ抜きやカビ、日焼けなどあく洗いの業務用洗剤、家洗い洗剤&ェ野でベストセラー商品を生み出している。隠れた全国メー
カー=B
そして旺盛な技術開発力と独自の販売ノウハウで、「集金しない」「配達しない」「営業マンによる売り込みをしない」という三無主義≠貫くユニークな企業である。
一昨年、それまで一人だった営業担当者を三人体制にした。さては「営業マンによる売り込みをしない」方針の変更かと聞くと「新規開拓といえば新規開拓のためなんですが、実は塗装工事業者などへの講習会の講師要員も兼ねた、いわばセールスエンジニア」なのだそうだ。
塗料店には何十軒かの塗装業者が顧客としてついている。そうした業者を塗料店と共同で集め、家洗いの講習会を催すのだ。競争の激しい塗装業界では、どの業者も新しい仕事、他と差別化できる仕事を求めている。
洗剤は塗料店を通じて販売するのだから、使う業者が増えれば増えるほど塗料店にもメリットがある。塗料店自身が熱心な営業マンになってくれるのだ。
■芸の細かい販売促進策
カラー写真をふんだんに使って、家のアク抜きの作業前、作業後の違いを強調したパンフレット数十万枚を用意している。それには同社の社名はなく、施工業者の欄は白抜きになっている。
同社の洗剤を使って家洗いに進出する業者はそこに自社名を刷り込めばすぐ自前の宣伝パンフレットになる。「別々に作っていたら簡単なものでも結構、かかりますからね」。印刷費用は同社と特約塗料店の折半。すでに四百社以上、四十万枚は出たという。
「採用している業者は全国に広がっています。塗装業者だけでなく、最近は建築業者が建てた後のサービス用に採用する例も増えています。これからは建てっ放しではダメ、細かいメンテを通じて増改築需要でつなげる必要がありますからね」。
このほか、塗料店など営業マンが一冊ずつ持って歩けるように総合カタログを用意したり、請求書などを送る際に同封できるミニチラシ、また宣伝ハガキの作成と芸が細かい。「なるべくこちらが動かなくていいように考えているだけです」
■現場から発想する商品開発
宮崎社長は大手建設会社からの脱サラ組。大学では精密機械工学を専攻し、会社では建設現場で電気設備や機械の据えつけの監督などをやっていた。
「ビルが建つと、工事中についたシミなどをきれいにして施主に引き渡さなければならないが、そのシミ抜き専門の業種がなかったし、いい洗剤もなかった。そこで私が洗剤を工夫して作ってやっていたんです」。
困った問題≠ノ着目する面目躍如だ。大学卒業時、サラリーマンを十年やったら独立すると決めていた。業種はなんでもいい。
その十年後は高度成長がピークに達した四十八年。銘木で作られた日本家屋が壊され、ビルに建て替わっていた。「もったいない。古い材木を洗って使えば省資源になる。こんな特殊な洗剤は大手も手を出しかねるはずだ」と独立を決めたという。
従来からある塩素系薬剤と違って、フッ化水素をベースにした独自のもの。洗浄力では建設会社時代から自信がある。だが最初、家庭用として売り出して痛い目を見た。
「販売ノウハウがないため、注文は多かったが配達でてんてこ舞い。忙しい割に効果はさっぱり」。そこで発想の転換。業務用路線に転じ、販売は既存の塗料店、建材店、ワックス業者の三つのルートに乗せ、電話注文、宅配会社による配送と人いらずの販売≠ノ徹した。
現在、販売実績前年同月比増を二十数ヶ月にわたって記録更新中。競合業者や大メーカーの参入もあるが、材木保護剤や消臭剤の開発、販売ノウハウの手入れなどに怠りはない。 |