会社は仕事の枠組みを決めるが、その目標を達成するためにどのように働くかは全て社員任せ、という企業もある。
建材用の洗剤を製造、販売するミヤキ(福岡市、宮崎基幸社長、社員22人)。札幌から熊本まで全国に16カ所ある営業所の社員はそれぞれ1人ずつで、その社員の自宅が営業所代わり。仕事の進め方や、勤務時間、休日の取り方は自由だ。
同社では、各営業マンに前年の15%増しという年間の売り上げ目標だけを設定している。全営業マンの売り上げを毎日集計して本社から全員へ送っている。そして毎月、目標の達成度合いに合わせて報奨金を出す。
報奨金には3種類ある。まず、目標額達成率の順位で差をつける第一報奨金。達成率90%以上の営業マンを順に並べ、1万円を最低に、順位が一つ上がるごとに1万円ずつ加算する。
第2報奨金は前年同月より売り上げを伸ばした社員全員に支給する。1万円プラス売り上げ伸び率に400円をかけた額だ。
第3報奨金は全社の売上げ割合を伸ばした社員に報いるもの。売上げ伸び率に600円をかけた額を原資とし、それを会社利益への個人の占有率に応じて分配する。
月給は年齢にかわらず初任給30万円でスタートするが、報奨金の獲得額で年収は大きくかわる。ミヤキへ転職後、わずか1年余りで年収を2倍に伸ばし、16人中、3番目になった社員もいる。
宮崎社長は「世の中には、優秀だが他人に管理されることが嫌いで、組織の中では十分に力を発揮できない人もいる。中小企業でも、そうした人材なら採用しやすい」と考えた。
そして彼らを上手に活用するために、自由度を高くする一方で、賃金制度を工夫した。
賃金制度を整えるだけで、社員の能力、生産性が上がるとは限らない。同時に、社員の発想や意欲が生かせるような組織、労働時間など働き方を工夫しなければ、賃金制度を整備する効果は半減する。
「働き方まで大胆に変えてこそ、賃金制度が生きる」−。強い企業の経営者た
ちはそう考えている。 |